コールセンター カスハラ 規程 ひな形
コールセンターのカスハラ規程ひな形|警告・終話・録音基準を整備する
公開日 2026-09-04・更新日 2026-09-04
# コールセンターのカスハラ規程ひな形|警告・終話・録音基準を整備する
コールセンターがカスハラ規程を整備するうえで最初に押さえるべき点は、2026年10月1日から全事業主に対してカスタマーハラスメント防止措置が義務となることです。規程の骨格として必要なのは、警告の基準・終話の手順・再入電への対応・通話録音の取り扱いという四つの要素です。本記事では、それぞれの記載例と整備の手順を実務的に解説します。
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なぜコールセンターに専用規程が必要なのか
カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)の防止措置は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(以下「労働施策総合推進法」)第33条(改正後)に根拠を置きます。厚生労働省告示第51号(カスハラ防止指針)は、事業主が講ずべき措置の内容を具体的に示しています。 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf(2026年9月時点)
コールセンターは、顧客と直接対話するチャネルの性質上、長時間の罵倒・脅迫的な言動・繰り返しの架電といった行為が発生しやすい環境です。汎用的な就業規則やハラスメント防止規程だけでは、「どの時点で警告するか」「いつ通話を終了できるか」「再入電をどう扱うか」という現場判断の基準が曖昧になりがちです。
専用規程を設けることで、オペレーターが個人の判断に委ねられる場面を減らし、組織として統一した対応を取れるようになります。これは指針が求める「相談体制の整備」「被害者への配慮」「再発防止」とも整合します。
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法的根拠と施行スケジュールの確認
改正法(令和7年法律第63号)は2025年6月11日に公布されました。カスハラ防止指針(告示51号)は2026年2月26日に告示され、主要部分の施行日は2026年10月1日です。
対象は労働者を1人以上雇用するすべての事業主であり、企業規模による猶予や経過措置はありません。コールセンターを自社で運営する事業主はもちろん、業務委託でコールセンター業務を受託している事業主も同様に義務の対象となります。
e-Gov 労働施策総合推進法(2026年9月時点) https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132
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規程に盛り込む四つの基準
警告の基準
警告とは、顧客の言動がカスハラに該当すると判断した時点でオペレーターまたはスーパーバイザーが行う口頭での通知です。規程には次の要素を明記します。
- カスハラと判断する言動の例示(暴言・脅迫・差別的発言・性的発言・長時間の拘束など)
- 警告を行う主体(オペレーター本人か、スーパーバイザーへのエスカレーション後か)
- 警告の文言例(「このような言動は対応できかねます。続く場合は通話を終了します」など)
- 警告の回数と間隔(例:1回目の警告後も継続する場合は2回目の警告を行い、それでも継続する場合は終話へ移行する)
警告の文言はスクリプトとして規程の別紙に添付しておくと、現場での迷いを減らせます。
終話の基準
終話(通話の終了)は、警告後も問題行動が継続した場合に事業主の判断として行うものです。規程には以下を記載します。
- 終話を実施できる条件(警告後も継続する場合、または即時終話が相当な場合の例示)
- 終話を判断する権限者(オペレーター単独か、スーパーバイザーの承認を要するか)
- 終話前に告げる文言例(「これ以上の対応が困難なため、通話を終了します」など)
- 終話後の記録義務(日時・対応者・言動の概要・警告回数を記録する)
即時終話が相当な場合の例示としては、脅迫・恐喝に当たる発言、性的な発言、業務に無関係な長時間の拘束などが考えられます。ただし、どの言動が即時終話に相当するかは、指針の内容を踏まえて自社の法務担当者や社会保険労務士と確認しながら設定してください。
再入電への対応基準
終話後に同一顧客から再度架電があった場合の対応を規程化しておくことで、オペレーターが個別に判断する負担を軽減できます。記載例として次の要素を盛り込みます。
- 再入電の受付可否を判断する主体(スーパーバイザーまたは管理職)
- 再入電を受け付けない場合の条件(当日中の再入電、または一定期間内の繰り返しなど)
- 再入電時の対応手順(スーパーバイザーが対応する、または文書対応に切り替えるなど)
- 受付拒否を顧客に伝える文言例
再入電の受付拒否は、顧客との関係を遮断するものではなく、問題のある言動に対して事業主として適切な対応方法を選択するものです。規程にその趣旨を明記しておくと、現場の判断根拠が明確になります。
通話録音の取り扱い基準
多くのコールセンターでは通話録音を実施していますが、カスハラ対応の文脈での録音活用について規程に明記しておくことが重要です。
- 録音の目的(品質管理・カスハラ対応の証拠保全を含む旨)
- 録音データの保存期間と管理責任者
- カスハラ事案として記録を保全する手順(通常の削除サイクルから除外する手続きなど)
- 録音データを参照できる権限者の範囲
- 個人情報保護法との整合(録音データの第三者提供・開示の条件)
録音データはカスハラの事実確認や再発防止策の検討に活用できますが、個人情報としての取り扱いにも注意が必要です。自社のプライバシーポリシーや個人情報保護方針との整合を確認してください。
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規程の構成例
コールセンター向けカスハラ対応規程の章立て例を示します。
第1章 目的・定義 第2章 カスタマーハラスメントの定義と具体例 第3章 警告の手順(警告基準・文言・権限者) 第4章 終話の手順(終話条件・文言・権限者・記録) 第5章 再入電への対応(受付可否の判断基準・手順) 第6章 通話録音の取り扱い(目的・保存・活用・廃棄) 第7章 相談・報告体制(オペレーターからの相談窓口・エスカレーション先) 第8章 被害を受けた労働者への配慮(メンタルヘルス支援・業務調整) 第9章 再発防止(事案の記録・分析・研修) 第10章 規程の改廃
別紙1 警告・終話スクリプト 別紙2 カスハラ事案記録票
この構成はあくまで参考例です。自社の業務フローや組織体制に合わせて調整してください。
規程のひな形については カスハラシールドのひな形ページ で確認できます。
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規程整備の手順
ステップ1:現状の洗い出し
まず、自社のコールセンターで過去に発生したカスハラ事案の記録を確認します。記録がない場合は、オペレーターやスーパーバイザーへのヒアリングを通じて、どのような言動が問題となっているかを把握します。
ステップ2:既存規程との整合確認
就業規則・ハラスメント防止規程・個人情報保護方針など既存の社内規程を確認し、カスハラ対応規程との重複や矛盾がないかを確認します。
ステップ3:規程案の作成
本記事の構成例や カスハラシールドのひな形ページ を確認材料として、自社の実態に合わせた規程案を作成します。法務担当者や社会保険労務士への確認を経て内容を固めることを推奨します。
ステップ4:周知・研修
規程を整備しても、オペレーターが内容を理解していなければ機能しません。告示51号が求める「周知・啓発」の観点から、規程の内容を説明する研修を実施し、スクリプトの使い方を練習する機会を設けます。
ステップ5:運用・見直し
規程は整備して終わりではなく、実際の運用を通じて課題を把握し、定期的に見直します。カスハラ事案の記録を蓄積・分析することで、警告基準や終話条件の精度を高めていくことができます。
カスハラ対応の全体像については カスハラシールドのガイドページ で確認できます。
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義務違反となった場合のリスク
カスハラ防止措置を講じない場合、行政指導・勧告の対象となります。勧告に従わない場合は企業名公表の対象となり得ます(労働施策総合推進法第42条第2項)。また、報告義務に違反した場合(虚偽報告・報告拒否)は20万円以下の過料が適用されます。
自社の対応状況を確認したい場合は カスハラシールドの診断ページ を活用してください。
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よくある質問
警告なしに即時終話することは認められますか?
告示51号は、カスハラに該当する言動の態様や程度に応じた対応を求めています。脅迫・恐喝に当たる発言や著しく侮辱的な言動など、即時終話が相当と判断される場合を規程に例示しておくことで、現場の判断根拠を明確にできます。ただし、どの言動が即時終話に相当するかは個別の事情によるため、規程作成時に法務担当者や社会保険労務士に確認することを推奨します。
業務委託でコールセンター業務を受託している場合も義務の対象ですか?
労働者を1人以上雇用するすべての事業主が対象であり、企業規模や業務形態による例外はありません。業務委託でコールセンター業務を受託している事業主も、自社の労働者を保護するための措置を講じる義務があります。 https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132(2026年9月時点)
通話録音をカスハラの証拠として保全する場合、顧客への告知は必要ですか?
通話録音の目的・利用方法については、個人情報保護法の観点から適切な告知・同意の取り扱いが求められます。録音開始時のアナウンスや利用規約での告知の内容が、カスハラ対応での証拠保全という目的を含んでいるかを確認してください。個別の判断については法務担当者に相談することを推奨します。
規程を整備すれば2026年10月1日の施行に対応できますか?
規程の整備は対応の初期整備を始めるための重要なステップですが、それだけで対応が完了するわけではありません。告示51号は、規程の整備に加えて、相談体制の整備・周知・啓発・被害者への配慮・再発防止策の実施を求めています。規程整備と並行して、これらの措置を組み合わせて進めることが必要です。
カスハラ対応規程は就業規則に含める必要がありますか?
就業規則に含める方法と、就業規則とは別に単独の規程として整備する方法があります。いずれの場合も、労働者への周知が必要です。就業規則の変更を伴う場合は労働基準法上の手続き(意見聴取・届出)が必要となるため、自社の状況に応じて法務担当者や社会保険労務士に確認してください。 --- 本記事は2026年9月時点の法令・告示に基づく一般情報であり、個別の法的助言・判断ではありません。個別事案への対応や規程の作成・添削については、法務担当者または社会保険労務士にご相談ください。