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カスハラ対策 準備 間に合わない場合

カスハラ対策が間に合わない場合にまず取るべき行動

公開日 2026-08-30・更新日 2026-08-30

# カスハラ対策が間に合わない場合にまず取るべき行動

2026年10月1日の施行日が迫っているにもかかわらず、カスハラ対策の整備が追いついていない事業主の方へ、まず結論をお伝えします。「すべてを完璧に整えてから動く」という発想を手放し、「今日から着手できる最小限の初期整備を始める」ことが最優先です。

施行日を過ぎても何も手をつけていない状態は、義務不履行のリスクを高めます。一方、完全な体制が整っていなくても、着手の記録と方針の明示があれば、行政対応の場面でも誠実な姿勢を示す材料になります。この記事では、整備が遅れている事業主が今すぐ取り組むべき順序を整理します。

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なぜ「間に合わない」では済まないのか

法的根拠と義務の性格

カスハラ対策の根拠は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(以下「労働施策総合推進法」)第33条(改正後)です。根拠法令はe-Gov(https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132 、2026年8月時点)で確認できます。

この規定は任意の取組ではなく、事業主に課された義務です。対象は労働者を1人以上雇用するすべての事業主であり、企業規模による猶予や経過措置はありません。

具体的な措置の内容は、2026年2月26日に告示された厚生労働省告示第51号(カスハラ防止指針)に定められています。 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf

施行日は2026年10月1日

主要部分の施行日は2026年10月1日です。この日以降、措置義務への対応が求められます。行政から報告を求められた際に虚偽の報告をしたり報告を拒否したりした場合は、20万円以下の過料の対象となります。また、勧告に従わない場合は企業名公表の対象となり得ます(改正後第42条第2項)。

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整備が遅れている場合の優先順位

整備が追いついていない場合、すべてを同時に進めようとすると何も完成しません。以下の順序で初期整備を始めることを推奨します。

第一優先:経営トップの方針表明

最も速く、最もコストをかけずに実施できる措置が、経営トップによる方針の明示です。カスハラ防止指針(告示51号)は、事業主がカスハラを許容しないという基本方針を明確にし、労働者に周知・啓発することを求めています。

方針表明は、社内掲示板への掲示、メール配信、朝礼での口頭宣言など、手段を問いません。重要なのは「いつ、誰が、何を表明したか」を記録に残すことです。この記録が、後の行政対応や内部調査の際の根拠になります。

方針文書の作成に迷う場合は、カスハラシールドのひな形ページに参考となる文書例を掲載していますので、初期整備の出発点として活用してください。

第二優先:相談窓口の暫定設置

次に着手すべきは、労働者がカスハラ被害を申告できる相談窓口の暫定的な設置です。専用の担当者や部署がなくても、既存の人事担当者や総務担当者を窓口として指定し、その連絡先を社内に周知するだけでも初期整備として機能します。

この段階では、精緻な対応フローが完成していなくても構いません。「誰に相談すればよいか」が労働者に伝わっている状態を作ることが目的です。

第三優先:対応フローの骨格作成

相談を受けた後にどう動くかの骨格を文書化します。完成度の高いマニュアルは後から整備できます。まずは「相談受付→事実確認→対応判断→記録保存」という流れを1枚の紙にまとめ、担当者が共有している状態を作ることを目指します。

第四優先:就業規則・規程への反映

就業規則や社内規程へのカスハラ関連条項の追加は、法的整備として重要ですが、労働基準監督署への届出を伴うため時間がかかります。第一から第三の優先事項を先行させながら、並行して規程改定の準備を進めてください。

規程の整備状況や現在の対応レベルを客観的に把握したい場合は、カスハラシールドの無料診断を活用することで、自社の現状と優先課題を整理する材料にすることができます。

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「間に合わない」状態を長引かせないために

記録を残しながら進める

整備が途中であっても、「いつ何を決定し、何を実施したか」の記録を残し続けることが重要です。行政から状況確認を求められた場合、着手の経緯と進捗を示せる記録は、誠実な対応の証拠になります。

外部リソースを活用する

社内リソースが限られている場合、社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談することも選択肢の一つです。ただし、この記事は一般情報の提供を目的としており、個別の規程作成・添削や行政手続の代行を受託するものではありません。

進捗管理の担当者を決める

整備が遅れる原因の多くは、担当者が明確でないことです。経営者自身、または特定の担当者を「カスハラ対策推進担当」として指名し、進捗を定期的に確認する仕組みを作ることで、整備のスピードが上がります。

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求職者等へのセクシュアルハラスメントも同日施行

2026年10月1日には、カスハラ対策と同時に、求職者等へのセクシュアルハラスメントへの対応義務も施行されます。根拠は雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)第13条(改正後)です。 https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000113 (2026年8月時点)

具体的な措置の内容は、2026年2月26日に告示された求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(告示第52号)に定められています。 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662589.pdf

採用活動において求職者と接触する機会がある事業主は、カスハラ対策と並行して、求職者等へのセクシュアルハラスメントへの対応体制の初期整備も始める必要があります。採用担当者への周知と、求職者等へのセクシュアルハラスメントに関する相談窓口の設置が最初のステップです。

カスハラ対策と求職者等へのセクシュアルハラスメント対策の両方について、自社の整備状況を確認したい場合は、カスハラシールドのガイドページで各措置の概要を確認することができます。

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施行日後に整備を続ける場合の注意点

2026年10月1日の施行日を過ぎた後も整備を継続する場合、以下の点に注意してください。

施行日以降は義務が発生しているため、行政から報告を求められる可能性があります。その際に「整備中である」という事実と「具体的な進捗」を示せる状態を維持することが重要です。

また、施行日後に労働者からカスハラ被害の申告があった場合、対応フローが未整備であっても、事業主は誠実に対応する義務を負います。暫定的な対応フローであっても、文書化されていることが対応の質を担保します。

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よくある質問

施行日までに就業規則の改定が間に合わない場合、どうすればよいですか?

就業規則の改定は重要ですが、施行日までに完了しなかった場合でも、方針表明・相談窓口の設置・対応フローの骨格作成を先行させることで、義務への対応を始めることができます。就業規則の改定は並行して進め、完成次第、労働基準監督署への届出と労働者への周知を行ってください。

小規模な事業所でも同じ義務が課されますか?

はい。カスハラ対策の義務は、労働者を1人以上雇用するすべての事業主に適用されます。企業規模による猶予や経過措置はありません。

相談窓口を外部委託することはできますか?

外部の相談窓口サービスを活用することは可能です。ただし、外部委託した場合でも、事業主としての対応義務は免除されません。外部窓口からの情報を受け取り、適切に対応する体制を社内に整えておく必要があります。

カスハラ対策の措置が不十分な場合、すぐに罰則が適用されますか?

措置義務違反そのものに直接の罰則規定はありません。ただし、行政から報告を求められた際に虚偽の報告をしたり報告を拒否したりした場合は20万円以下の過料の対象となります。また、勧告に従わない場合は企業名公表の対象となり得ます(改正後第42条第2項)。

求職者等へのセクシュアルハラスメント対策は、カスハラ対策と別に整備が必要ですか?

根拠法令と指針が異なるため、別途の整備が必要です。カスハラ対策は労働施策総合推進法第33条と告示第51号、求職者等へのセクシュアルハラスメント対策は男女雇用機会均等法第13条と求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(告示第52号)がそれぞれの根拠となります。両方とも2026年10月1日が施行日です。 --- 本記事は一般情報であり、個別の法的助言・判断ではありません。個別事案への対応については、社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください。