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カスハラ 既存ハラスメント規程 統合

カスハラを既存ハラスメント規程に統合する方法と注意点

公開日 2026-09-02・更新日 2026-09-02

# カスハラを既存ハラスメント規程に統合する方法と注意点

カスタマーハラスメント(カスハラ)に関する措置義務は、2026年10月1日を施行日として全事業主に適用されます。既存のパワハラ・セクハラ規程を持つ事業主の多くが「新たに独立した規程を作るべきか、既存規程に統合してよいか」という疑問を持っています。

結論から述べると、既存のハラスメント規程への統合は可能です。ただし、カスハラは「顧客等からの行為」という点で従来のハラスメントと対象・構造が異なるため、統合する際には追記・修正すべき項目が複数あります。本記事では、統合の可否・手順・注意点を実務的に整理します。

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カスハラ措置義務の法的根拠を確認する

カスハラに関する事業主の措置義務は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)第33条(改正後)に定められています。根拠法令はe-Govで確認できます(2026年9月時点)。

https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132

具体的な措置の内容は、厚生労働省告示第51号(カスハラ防止指針)が定めています。

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf

この義務は全事業主に適用されます。労働者が1人以上いれば対象であり、企業規模による猶予や経過措置はありません。「中小企業だから後回しでよい」という判断は法令上の根拠がありません。

なお、同じく2026年10月1日施行の改正では、求職者等へのセクシュアルハラスメントに関する措置義務も新設されています。根拠は男女雇用機会均等法第13条(改正後)、指針は求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(告示52号)です。本記事ではカスハラへの統合を中心に解説しますが、規程整備の際は求職者等へのセクシュアルハラスメントへの対応も同時に確認することを推奨します。

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既存規程への統合が「可能」な理由

カスハラ防止指針(告示51号)は、事業主が講ずべき措置として、方針の明確化・周知啓発、相談体制の整備、事後対応、プライバシー保護などを求めています。これらの構造は、パワハラ防止指針やセクハラ防止指針が求める措置と共通する部分が多くあります。

そのため、既存の「ハラスメント防止規程」や「ハラスメント対応規程」にカスハラに関する章・条項を追加する形での統合は、法令上禁止されていません。一つの規程でパワハラ・セクハラ・カスハラをまとめて定める「総合ハラスメント防止規程」という形式は、実務上も採用しやすい構成です。

ただし、統合する場合でも、カスハラ固有の要素を漏れなく盛り込む必要があります。既存規程の文言をそのまま流用するだけでは、指針が求める内容を満たさない可能性があります。

規程のひな形や記載項目の確認には、カスハラシールドのひな形ページも参考にしてください。

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統合時に追加・修正が必要な主な項目

カスハラの定義条項

既存規程のパワハラ・セクハラ定義は「労働者間」または「事業主と労働者間」の行為を前提としています。カスハラは「顧客、取引先、施設利用者その他の第三者」からの行為であり、行為者の属性が根本的に異なります。

統合する場合は、カスハラの定義として「顧客等からの著しい迷惑行為であって、労働者の就業環境が害されるもの」という趣旨の条項を独立して設ける必要があります。既存のパワハラ定義(「優越的な関係を背景とした」行為)とは構造が異なるため、定義を共通化することはできません。

対象となる行為類型の明示

カスハラ防止指針(告示51号)は、典型的な行為類型として、身体的な攻撃、精神的な攻撃、土下座の要求、長時間の拘束、SNSへの投稿による脅迫などを例示しています。既存規程にこれらの類型を追記することで、労働者・管理職が「何がカスハラに該当するか」を判断しやすくなります。

事業主の方針と労働者保護の姿勢

指針は、事業主がカスハラを「許容しない」という方針を明確にし、労働者に周知することを求めています。既存規程の「ハラスメントを行ってはならない」という禁止規定は、行為者が「労働者」を想定しています。カスハラの場合は行為者が顧客等であるため、「顧客等からのカスハラ行為に対して事業主は労働者を保護する」という趣旨の条項を追加する必要があります。

相談窓口の対象範囲の拡張

既存の相談窓口が「社内のハラスメント被害」のみを対象としている場合、カスハラ被害(顧客等からの行為)も受け付ける旨を明記する必要があります。窓口の名称・連絡先・受付方法は変更しなくてよい場合もありますが、対象範囲の記載は修正が必要です。

事後対応手順の整備

カスハラが発生した場合の対応手順は、社内ハラスメントとは異なります。顧客等への対応(取引停止・警察への相談・法的措置の検討など)を含む手順を規程または別途のマニュアルに定め、規程から参照できるようにすることが実務上有効です。

プライバシー保護規定の確認

相談者・被害者のプライバシー保護に関する規定は、既存規程に含まれている場合が多いですが、カスハラ相談においても同様に適用されることを明確にしておく必要があります。

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独立規程と統合規程、どちらを選ぶか

独立した「カスタマーハラスメント防止規程」を作成するか、既存規程に統合するかは、法令上どちらでも構いません。選択の基準として以下の点を参考にしてください。

統合が向いているケース

  • 既存規程が「総合ハラスメント防止規程」として設計されており、章立てで追加しやすい構造になっている場合
  • 相談窓口・懲戒手続・プライバシー保護などの共通インフラを一本化して管理したい場合
  • 規程の数を増やさずに管理コストを抑えたい場合

独立規程が向いているケース

  • 既存規程が「パワーハラスメント防止規程」として特定のハラスメントに特化した構成になっており、統合すると読みにくくなる場合
  • 業種・業態上、カスハラリスクが特に高く、詳細な対応手順を独立して定めたい場合
  • 労働者への周知・研修において、カスハラを独立したテーマとして扱いたい場合

どちらの形式を選ぶ場合でも、指針(告示51号)が求める措置の内容を漏れなく盛り込むことが重要です。

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統合作業の進め方

ステップ1:既存規程の棚卸し

現在の規程が何を対象としているか、どの条項がカスハラに転用できるかを確認します。特に、定義・対象行為・相談窓口・事後対応・プライバシー保護・周知方法の各項目を点検します。

ステップ2:カスハラ固有の追記事項の特定

告示51号(カスハラ防止指針)を参照し、既存規程に不足している項目を洗い出します。定義・行為類型・事業主の保護方針・対応手順が主な追記対象です。

詳細な確認項目については、カスハラシールドのガイドページも参照してください。

ステップ3:規程案の作成と確認

追記・修正した規程案を作成します。就業規則の一部として位置づける場合は、労働基準法上の手続き(労働者代表への意見聴取・労働基準監督署への届出)が必要になる場合があります。個別の手続きについては、社会保険労務士や弁護士に確認することを推奨します。

ステップ4:周知・研修の実施

規程を整備するだけでなく、労働者への周知と研修の実施が指針上求められています。規程の内容・相談窓口・対応手順を労働者が理解できる形で伝える機会を設けてください。

自社の対応状況を確認したい場合は、カスハラシールドの診断ページも活用できます。

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施行日までに整備を始める

2026年10月1日の施行日までに、規程の整備・周知・研修の初期整備を始めることが求められます。措置義務に違反した場合、厚生労働大臣による助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合は企業名公表の対象となり得ます(根拠:改正後第42条第2項)。

また、報告義務(虚偽報告・報告拒否)に違反した場合は20万円以下の過料が適用されます。

施行日まで時間的な余裕があるように見えても、規程の作成・確認・周知・研修には一定の期間が必要です。早期に初期整備を始めることを推奨します。

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よくある質問

パワハラ防止規程にカスハラの章を追加するだけで法令上の要件を満たせますか?

追加する内容が告示51号(カスハラ防止指針)の求める措置を網羅していれば、章を追加する形での統合は法令上認められます。ただし、定義・行為類型・事業主の保護方針・対応手順・周知方法など、指針が求める各項目を漏れなく盛り込む必要があります。既存のパワハラ規程の文言をそのまま流用するだけでは不十分な場合があります。

カスハラ規程の整備は中小企業にも義務ですか?

はい、義務です。労働者が1人以上いるすべての事業主が対象であり、企業規模による猶予や経過措置はありません。2026年10月1日の施行日から全事業主に適用されます。

既存の相談窓口をカスハラにも使う場合、何を変更すればよいですか?

窓口の名称・連絡先・担当者を変更する必要はない場合がありますが、規程上の「対象範囲」に顧客等からのカスハラ被害が含まれることを明記する必要があります。また、窓口担当者がカスハラ相談に対応できるよう、研修・情報提供を行うことが求められます。

カスハラ対応マニュアルは規程とは別に作成すべきですか?

法令上、マニュアルを規程と一体化するか別文書にするかの指定はありません。ただし、顧客等への対応手順(取引停止の判断基準・警察への相談・法的措置の検討など)は詳細になりやすいため、規程本体には基本方針と手順の概要を定め、詳細はマニュアルに委ねる構成が実務上扱いやすい場合があります。

求職者等へのセクシュアルハラスメントも同じ規程に統合できますか?

統合すること自体は可能です。ただし、求職者等へのセクシュアルハラスメントの根拠法令は男女雇用機会均等法第13条(改正後)であり、指針は求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(告示52号)です。カスハラとは根拠法令・対象・措置内容が異なるため、統合する場合でも各ハラスメントの定義・対象・対応手順を明確に区別して記載する必要があります。 --- 本記事は2026年9月時点の法令・指針に基づく一般情報であり、個別の法的助言・判断ではありません。規程の作成・改定・就業規則の届出手続きについては、社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください。