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求職者等セクシュアルハラスメント防止規程 作り方

求職者等セクシュアルハラスメント防止規程の作り方と必須記載項目

公開日 2026-09-03・更新日 2026-09-03

# 求職者等セクシュアルハラスメント防止規程の作り方と必須記載項目

求職者等セクシュアルハラスメント防止規程を整備するには、まず「誰が対象か」を正確に把握し、次に男女雇用機会均等法第13条(改正後)と求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(厚生労働省告示第52号)が求める措置を規程の条文に落とし込む必要があります。

施行日は2026年10月1日です。この日以降、全事業主(労働者1人以上)に対して求職者等へのセクシュアルハラスメントに関する雇用管理上の措置が義務として課されます。企業規模による猶予・経過措置はありません。本記事では規程に盛り込むべき項目と作成の手順を整理します。

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求職者等へのセクシュアルハラスメントとは何か

法的根拠と告示

求職者等へのセクシュアルハラスメントの根拠条文は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)第13条(改正後)です(2026年9月時点)。 e-Gov 男女雇用機会均等法: https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000113

指針は求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(厚生労働省告示第52号、2026年2月26日告示)です。 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662589.pdf

対象となる「求職者等」の範囲

既存の均等法上のセクシュアルハラスメント規制は自社の労働者を保護対象としていましたが、改正後の第13条は求職者等にも保護対象を拡大しています。求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針が示す対象範囲を正確に把握することが規程作成の出発点です。

指針が対象とする「求職者等」には、自社への就職を希望して応募・選考を受けている者(求職者)のほか、インターンシップ参加者など就業体験を行う者も含まれます。規程を作成する際は、この対象範囲を条文の冒頭または定義条項に明記してください。

自社の労働者に対するセクシュアルハラスメント防止措置は従来の均等法第11条に基づく規程で対応しており、今回の改正はそれとは別に求職者等を対象とした措置を義務として追加するものです。既存の社内規程と混同しないよう、規程の名称・適用範囲を明確に区別することを推奨します。

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規程に盛り込むべき必須項目

求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針が事業主に求める措置を整理すると、規程には以下の項目を設ける必要があります。

1. 目的・適用範囲

規程の冒頭に、男女雇用機会均等法第13条(改正後)に基づく措置であることと、適用対象が「求職者等」であることを明示します。「求職者等」の定義(応募者、インターンシップ参加者など)も条文内に置くと運用時の判断が明確になります。

2. 禁止行為の定義

求職者等へのセクシュアルハラスメントとして禁止する行為を具体的に列挙します。指針は「対価型」と「環境型」の二類型を示しています。

  • 対価型:採用・選考上の不利益を示唆・実行することを条件に性的な言動を行うこと
  • 環境型:性的な言動によって求職者等の就業環境(選考・体験環境)を害すること

条文では「性的な言動」の例示(性的な発言、身体への不必要な接触、性的な内容の質問など)を盛り込むと、行為者・被害者双方が理解しやすくなります。

3. 事業主・管理職・従業員の責務

事業主の責務として措置義務の履行を明記し、管理職には部下への周知・指導義務を、全従業員には求職者等に対する適切な言動の義務を規定します。採用担当者・インターンシップ担当者は求職者等と直接接触する機会が多いため、特に責務を明確化することが実務上有効です。

4. 相談・苦情対応窓口

求職者等が相談・苦情を申し出られる窓口を設置し、その連絡先・受付方法を規程に明記します。指針は相談窓口の設置を措置の一つとして求めています。

窓口は既存のハラスメント相談窓口と兼用することも可能ですが、求職者等が社内の連絡先を知らない場合に備え、採用案内・インターンシップ案内にも窓口情報を掲載する運用を規程に定めておくと実効性が高まります。

5. 相談者・申告者への不利益取扱いの禁止

相談・苦情を申し出た求職者等に対して、採用選考上の不利益(不合格・選考除外など)やインターンシップの打ち切りなどの不利益な取扱いを禁止する条項を設けます。この保護規定は指針が明示する事項です。

6. 事実確認・調査手続

相談・苦情を受けた後の事実確認・調査の手順を定めます。関係者へのヒアリング方法、調査担当者の指定、調査結果の記録・保管などを規程に盛り込みます。求職者等はすでに選考を終えている場合もあるため、連絡先の保管期間についても運用上のルールを設けることを検討してください。

7. 行為者への措置

事実確認の結果、ハラスメントが認定された場合の行為者(自社従業員)への懲戒・指導措置を規定します。就業規則の懲戒規定と整合させる必要があります。

8. 再発防止措置

ハラスメントが発生した場合の再発防止策(研修の実施、採用・インターンシップ手続の見直しなど)を規程に明記します。

9. 情報管理・プライバシー保護

相談・調査の過程で取得した個人情報(求職者等の氏名・相談内容など)の取扱いルールを定めます。関係者以外への情報漏えいを禁止する条項は必須です。

10. 周知・啓発

規程の内容を採用担当者・管理職・全従業員に周知する方法(研修、社内イントラへの掲載など)と、求職者等への周知方法(採用サイト・インターンシップ案内への掲載など)を定めます。

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既存規程との整理方法

既存のセクシュアルハラスメント防止規程との関係

多くの事業主はすでに均等法第11条に基づく労働者向けのセクシュアルハラスメント防止規程を持っています。今回の改正で求められるのは、それとは別に求職者等を対象とした措置です。

対応方法は主に二つあります。

  • 別規程として作成する:「求職者等セクシュアルハラスメント防止規程」として独立した規程を整備する。対象・手続が明確になり、採用担当者への周知がしやすい。
  • 既存規程を改定して統合する:既存のハラスメント防止規程に「求職者等」を対象とする章・条項を追加する。規程数を増やしたくない場合に有効だが、適用範囲の記載を慎重に整理する必要がある。

どちらの方法を選ぶ場合も、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針が求める措置が漏れなく盛り込まれているかを確認することが重要です。

カスハラ防止規程との関係

同じく2026年10月1日に施行される労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)第33条(改正後)に基づくカスハラ防止措置も、全事業主に義務として課されます。カスハラ防止指針(厚生労働省告示第51号)に基づく規程整備と並行して進めることで、対応漏れを防ぎやすくなります。 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf e-Gov 労働施策総合推進法: https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132

カスハラ対応の全体像については カスハラ対策ガイド も参照してください。

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作成・整備の手順

ステップ1:対象範囲の確認

自社の採用活動・インターンシップの形態を棚卸しし、「求職者等」として保護すべき対象者の範囲を具体的に洗い出します。

ステップ2:現行規程・就業規則の確認

既存のセクシュアルハラスメント防止規程・就業規則の懲戒規定を確認し、今回の規程整備との整合性を確認します。

ステップ3:規程の起案

本記事で示した必須項目をもとに規程の草案を作成します。雛形の活用については 規程・書式テンプレート を参考にしてください。

ステップ4:関係部署との調整

採用担当部署・法務・コンプライアンス担当・人事部門が連携して規程内容を確認します。相談窓口の担当者・連絡先も確定させます。

ステップ5:周知・研修の実施

規程を整備するだけでなく、採用担当者・管理職・全従業員への周知と研修を実施することが指針上求められています。採用サイト・インターンシップ案内への窓口情報の掲載も忘れずに行います。

ステップ6:運用状況の定期確認

規程の運用状況・相談件数・研修実施状況を定期的に確認し、必要に応じて規程・手続を見直します。自社の対応状況を点検したい場合は 対応状況チェック も活用できます。

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義務違反の場合のリスク

求職者等へのセクシュアルハラスメントに関する措置は義務です。措置を講じていない場合、厚生労働大臣による報告徴収・助言・指導・勧告の対象となります。勧告に従わない場合は企業名公表の対象となり得ます(男女雇用機会均等法の公表規定に基づく)。

また、報告義務に対して虚偽の報告をした場合や報告を拒否した場合は、過料の対象となります。

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よくある質問

パート・アルバイトしか雇用していない小規模事業者も対象ですか?

対象は労働者1人以上を雇用する全事業主です。企業規模による猶予・経過措置はありません。パートタイム労働者のみを雇用している場合も、2026年10月1日以降は措置義務が課されます。

求職者等セクシュアルハラスメント防止規程は就業規則とは別に作成する必要がありますか?

法令上、独立した規程として作成することが必須とされているわけではありません。既存の就業規則やハラスメント防止規程に求職者等を対象とする条項を追加する方法でも対応できます。ただし、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針が求める措置が漏れなく盛り込まれていることが重要です。

インターンシップ参加者が1日だけの場合も対象になりますか?

求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針が示す「求職者等」の範囲には就業体験を行う者が含まれます。期間の長短にかかわらず、インターンシップ参加者は対象に含まれると解されます。指針の原文(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662589.pdf)で対象範囲を直接確認してください。

相談窓口は外部委託でも構いませんか?

求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針は相談窓口の設置を求めていますが、外部委託を明示的に禁止してはいません。外部の相談機関を活用する場合も、求職者等が実際に相談できる体制であることと、連絡先が求職者等に周知されていることが重要です。

既存の労働者向けセクシュアルハラスメント防止規程を流用できますか?

既存規程を参考にすることは可能ですが、適用対象・禁止行為の定義・相談窓口の周知方法などを「求職者等」の特性に合わせて修正する必要があります。特に、求職者等は社内の連絡先を知らない点や、選考終了後に相談が来る可能性がある点を考慮した条文にすることが重要です。 --- 本記事は2026年9月時点の法令・指針に基づく一般情報であり、個別の法的助言・判断ではありません。規程の作成・改定にあたっては、社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください。