カスハラ 施行後 自社対象 再確認
カスハラ義務化、自社は対象?2026年10月施行後の確認ポイント
公開日 2026-09-02・更新日 2026-09-02
# カスハラ義務化、自社は対象?2026年10月施行後の確認ポイント
2026年10月1日、カスタマーハラスメント(カスハラ)防止に関する措置義務が施行されました。対象は労働者を1人以上雇用するすべての事業主です。企業規模による猶予や経過措置はなく、施行日時点で義務が生じています。
「うちは小規模だから対象外では」「パート・アルバイトしかいないから関係ない」といった疑問を持つ事業主の方もいますが、いずれも対象外にはなりません。本記事では、施行後に自社の対象範囲と必要な措置を改めて確認するための情報を整理します。
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根拠となる法令と指針
カスハラ防止措置の根拠は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)第33条(改正後)です。
- e-Gov 労働施策総合推進法: https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132(2026年9月時点)
具体的な措置内容は、厚生労働省告示第51号(カスタマーハラスメント防止指針)に定められています。
- カスタマーハラスメント防止指針(告示51号): https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf
この改正法は令和7年法律第63号として2025年6月11日に公布され、指針は2026年2月26日に告示されました。そして2026年10月1日を施行日として、事業主への措置義務が発生しています。
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自社が対象かどうかを確認する3つの視点
視点1:雇用形態を問わず「労働者1人以上」で対象
対象となる事業主の要件は、「労働者を1人以上雇用していること」のみです。正社員・パートタイム・アルバイト・派遣労働者など、雇用形態は問いません。個人事業主であっても、従業員を1人でも雇用していれば義務の対象となります。
「従業員が少ないから大企業向けの話だろう」と考えている場合は、その認識を改める必要があります。企業規模による適用除外や猶予期間は設けられていません。
視点2:業種・業態による除外はない
製造業・小売業・飲食業・医療・介護・IT・金融など、業種による適用除外もありません。顧客や取引先と接点がある業種はもちろん、直接的な対面接客がない業種であっても、電話・メール・オンライン等を通じた顧客対応が存在する場合は対象となります。
視点3:「カスハラ」の定義を自社の実態に照らす
告示51号では、カスタマーハラスメントを「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該クレーム・言動の態様・手段が社会通念上不相当なものであって、当該クレーム・言動により、労働者の就業環境が害されるもの」と定義しています。
「クレームはあるが、カスハラかどうか判断が難しい」という場合は、指針の定義を参照しながら自社の状況を確認することが出発点になります。
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事業主が講じるべき措置の概要
告示51号が示す措置は、大きく以下の柱で構成されています。施行後の現時点で、これらの初期整備を始めることが求められます。
事業主の方針の明確化と周知・啓発
カスタマーハラスメントを許容しないという事業主の方針を明確にし、労働者に周知・啓発することが求められます。就業規則や社内規程への記載、社内研修の実施などが具体的な手段として挙げられます。
相談体制の整備
労働者がカスタマーハラスメントに関する相談をできる体制を整備することが必要です。相談窓口の設置や、相談を受けた際の対応手順の明確化が含まれます。
被害を受けた労働者へのケア
カスタマーハラスメントの被害を受けた労働者に対して、適切なケアを行う体制を整えることも措置の一部です。
再発防止のための取組
被害が発生した場合の事後対応として、原因の把握と再発防止策の検討・実施が求められます。
これらの措置は義務であり、任意の取組ではありません。措置を講じていない場合、行政指導の対象となり得ます。さらに、勧告に従わない場合は企業名公表の対象となり得ます(改正後第42条第2項)。
なお、報告義務に違反した場合(虚偽報告・報告拒否)には20万円以下の過料が適用されますが、これは措置義務違反そのものへの罰則ではありません。
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同時施行:求職者等へのセクシュアルハラスメントへの対応も確認を
2026年10月1日の施行日には、カスハラ防止措置と同時に、求職者等へのセクシュアルハラスメントに関する措置義務も施行されています。
根拠は雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)第13条(改正後)です。
- e-Gov 男女雇用機会均等法: https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000113(2026年9月時点)
具体的な措置内容は求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(告示52号)に定められています。
- 求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(告示52号): https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662589.pdf
求職者等へのセクシュアルハラスメントとは、採用選考や職場見学などの場面において、求職者・インターンシップ参加者等に対して行われるセクシュアルハラスメントを指します。採用活動を行っている事業主は、カスハラ対応と並行してこちらの措置状況も確認してください。
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施行後に自社で確認すべきチェックリスト
以下の項目を確認の出発点として活用してください。
- 自社がカスタマーハラスメントを許容しない旨の方針を文書化しているか
- その方針を労働者に周知しているか
- カスタマーハラスメントに関する相談窓口を設置しているか
- 相談を受けた際の対応手順を定めているか
- 被害を受けた労働者へのケア体制を整えているか
- 求職者等へのセクシュアルハラスメントへの対応体制を整えているか
自社の対応状況を体系的に確認したい場合は、カスハラシールドの無料診断ツールをご活用ください。現状のギャップを把握する材料として使用できます。
また、規程の雛形や対応の手引きについてはガイドページ、文書テンプレートについては雛形ダウンロードページもあわせてご参照ください。
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よくある質問
従業員が家族だけの家族経営でも対象になりますか?
労働施策総合推進法上の「労働者」に該当するかどうかによります。家族従業員であっても、労働契約を締結して賃金を支払っている場合は労働者に該当し得ます。個別の雇用実態に基づいて判断する必要があるため、具体的な判断については所轄の労働局または社会保険労務士にご相談ください。
施行日の2026年10月1日より前から対応を始めていなかった場合、遡って問題になりますか?
施行日以降の措置状況が問われます。施行日前の対応状況が直接的に問われるわけではありませんが、施行後の現時点で措置が講じられていない状態が続くことが問題となります。施行後であっても、初期整備を始めることが重要です。
「カスハラ」と「通常のクレーム」の線引きはどこですか?
告示51号では、要求内容の妥当性と、その態様・手段が社会通念上不相当かどうかを組み合わせて判断するとされています。正当なクレームへの適切な対応は事業主の責務であり、カスハラとは区別されます。具体的な線引きの判断は個別事案の状況によるため、指針の定義を参照しながら自社で検討するか、専門家に相談することをお勧めします。
措置を講じていない場合、すぐに罰則が適用されますか?
措置義務違反そのものに直接罰則が適用されるわけではありません。行政指導・勧告のプロセスを経て、勧告に従わない場合は企業名公表の対象となり得ます(改正後第42条第2項)。なお、報告義務違反(虚偽報告・報告拒否)には20万円以下の過料が適用されます。
求職者等へのセクシュアルハラスメントへの対応は、既存のセクハラ防止措置と別に整備が必要ですか?
既存の職場内セクシュアルハラスメント防止措置とは対象範囲が異なります。求職者等へのセクシュアルハラスメントは、採用選考・インターンシップ等の場面における求職者等を対象とするものです。求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(告示52号)の内容を確認し、既存の措置との関係を整理することが必要です。 --- 本記事は2026年9月時点の法令・指針に基づく一般情報であり、個別の法的助言・判断ではありません。具体的な対応については、所轄の都道府県労働局または専門家にご相談ください。