カスハラ 義務化 対象企業
カスハラ義務化の対象企業と対象者の範囲を解説
公開日 2026-09-03・更新日 2026-09-03
# カスハラ義務化の対象企業と対象者の範囲を解説
2026年10月1日から、カスタマーハラスメント(カスハラ)防止に関する措置が全事業主に義務付けられます。「大企業だけが対象では」「パート・アルバイトは含まれるか」といった疑問を持つ事業主の方に向けて、法令の根拠とともに対象範囲を整理します。
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カスハラ義務化の法的根拠
カスハラ防止措置の義務化は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)第33条(改正後)に基づきます。改正法は2025年6月11日に令和7年法律第63号として公布され、主要部分の施行日は2026年10月1日です。
具体的な措置内容は、2026年2月26日に告示された厚生労働省告示第51号(カスタマーハラスメント防止指針)に定められています。
- e-Gov 労働施策総合推進法(2026年9月時点): https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132
- カスタマーハラスメント防止指針(告示51号): https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf
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対象となる事業主の範囲
企業規模による区別はありません
カスハラ防止措置の義務化は、労働者を1人以上雇用するすべての事業主が対象です。従業員数による猶予期間や経過措置は設けられていません。中小企業・小規模事業者であっても、2026年10月1日の施行日から同等の義務を負います。
パワーハラスメント防止措置が大企業先行で義務化された経緯と混同されることがありますが、カスハラ防止措置にそのような段階的適用はありません。個人事業主であっても労働者を1人でも雇用していれば対象となります。
業種・業態による除外もありません
小売業、飲食業、医療・介護、金融、運輸、IT、製造業など、業種・業態を問わず適用されます。顧客や取引先と接点のある業種はもちろん、社内業務が中心の事業者であっても、労働者を雇用している以上は対象から外れません。
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保護される「労働者」の範囲
雇用形態を問わず対象
カスハラ防止措置によって保護される「労働者」には、正社員だけでなく、パートタイム労働者、アルバイト、契約社員、派遣労働者も含まれます。雇用形態による区別はありません。
派遣労働者については、派遣先事業主も派遣元事業主と同様に措置を講じる義務を負います。派遣先の顧客等から派遣労働者がカスハラを受けた場合、派遣先が適切に対応する体制を整えることが求められます。
管理職・役員は
管理職(管理監督者)は労働者に含まれるため、保護の対象です。一方、法人の代表者など労働者に該当しない役員については、労働施策総合推進法上の「労働者」の定義に照らして判断が必要です。個別の判断については、所轄の労働局または専門家にご確認ください。
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カスハラの行為者となり得る「顧客等」の範囲
顧客・取引先・来訪者など
カスハラ防止指針(告示51号)では、カスハラの行為者として想定される「顧客等」は、事業主の事業に関係する者を広く含みます。具体的には、商品やサービスを購入する顧客、業務上の取引先、施設への来訪者などが含まれます。
個人・法人を問わない
行為者が個人か法人(法人の担当者)かを問いません。また、対面での行為に限らず、電話、メール、SNSなどを通じた行為も対象となります。
「就業環境が害される」かどうかが判断の軸
カスハラとして措置義務の対象となるのは、顧客等からの言動のうち、「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」によって「労働者の就業環境が害される」ものです。単なるクレームや正当な苦情はカスハラには該当しません。指針(告示51号)では、暴行・傷害、脅迫・強要、不当な要求の繰り返し、侮辱・誹謗中傷などが例示されています。
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事業主に求められる措置の概要
義務の内容
カスハラ防止措置として事業主に求められる主な内容は以下のとおりです。
- カスハラに関する方針の明確化と周知・啓発
- 相談体制の整備
- 被害を受けた労働者へのケア・フォローアップ
- 再発防止のための取組
これらは義務であり、任意の取組ではありません。措置を講じない場合、行政指導の対象となり、勧告に従わない場合は企業名公表の対象となり得ます(改正後第42条第2項)。
なお、報告義務(行政への報告)に対して虚偽の報告をしたり報告を拒否したりした場合は、20万円以下の過料が適用されます。これは措置義務違反そのものへの罰則ではなく、報告義務違反に対するものです。
規程・マニュアルの整備から始める
方針の明確化にあたっては、カスハラ対応規程や対応マニュアルを整備することが実務上の出発点となります。規程のひな形については カスハラシールド ひな形ページ を参考にしてください。自社の状況に合わせた初期整備を始める際の確認材料としてご活用いただけます。
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同時施行される「求職者等へのセクシュアルハラスメント」防止義務
2026年10月1日には、カスハラ防止措置と同時に、求職者等へのセクシュアルハラスメント防止措置も義務化されます。
根拠法は雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)第13条(改正後)であり、指針は2026年2月26日に告示された求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(告示52号)です。
- e-Gov 男女雇用機会均等法(2026年9月時点): https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000113
- 求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(告示52号): https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662589.pdf
求職者等へのセクシュアルハラスメントとは、採用選考中の求職者や職場実習生など、雇用関係に至る前の段階にある者に対するセクシュアルハラスメントを指します。こちらも全事業主が対象であり、企業規模による猶予はありません。採用活動を行うすべての事業主は、カスハラ対応と並行して体制整備を進める必要があります。
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2026年10月1日までに確認すべきポイント
施行日である2026年10月1日までに、少なくとも以下の点を確認・整備することが求められます。
- 自社がカスハラ防止措置の義務対象であることの確認(労働者1人以上であれば対象)
- カスハラに関する社内方針の策定と従業員への周知
- 相談窓口の設置または既存窓口の機能拡充
- 被害を受けた労働者への対応フローの整備
- 求職者等へのセクシュアルハラスメント防止に関する規程・体制の整備
自社の対応状況を確認したい場合は、カスハラシールド 診断ページ をご活用ください。現状の整備状況を把握する確認材料として設計しています。
また、措置の全体像や具体的な対応手順については、カスハラシールド ガイドページ で詳しく解説しています。
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よくある質問
従業員が数人しかいない小規模事業者も対象ですか?
はい、対象です。カスハラ防止措置の義務化は、労働者を1人以上雇用するすべての事業主に適用されます。企業規模による猶予や経過措置は設けられていません。2026年10月1日の施行日から、小規模事業者も同等の義務を負います。
パートやアルバイトもカスハラ防止の保護対象になりますか?
はい、なります。保護される「労働者」には、正社員のほか、パートタイム労働者、アルバイト、契約社員、派遣労働者も含まれます。雇用形態による区別はありません。
顧客からの苦情やクレームはすべてカスハラになりますか?
なりません。カスハラとして措置義務の対象となるのは、「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」によって「労働者の就業環境が害される」ものです。正当な苦情や改善要求はカスハラには該当しません。カスタマーハラスメント防止指針(告示51号)に具体的な例示が示されています。https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf
措置を講じなかった場合、すぐに罰則が科されますか?
措置義務違反そのものに直接の罰則(過料等)はありません。ただし、行政指導・勧告の対象となり、勧告に従わない場合は企業名公表の対象となり得ます(改正後第42条第2項)。なお、行政からの報告求めに対して虚偽の報告をしたり報告を拒否したりした場合は、20万円以下の過料が適用されます。
求職者等へのセクシュアルハラスメント防止も同じ日に義務化されますか?
はい。求職者等へのセクシュアルハラスメント防止措置も、カスハラ防止措置と同じ2026年10月1日に施行されます。根拠は男女雇用機会均等法第13条(改正後)、指針は求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(告示52号)です。採用活動を行う事業主は、カスハラ対応と並行して体制を整える必要があります。 --- 本記事は2026年9月時点の法令・告示に基づく一般情報であり、個別の法的助言・判断ではありません。具体的な対応については、所轄の都道府県労働局または専門家にご相談ください。