カスハラ対策 未整備のまま10月 対応
カスハラ対策が間に合わないまま10月を迎えたときに最初にすること
公開日 2026-08-22・更新日 2026-08-22
# カスハラ対策が間に合わないまま10月を迎えたときに最初にすること
2026年10月1日、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(以下「労働施策総合推進法」)第33条の改正が施行されました。カスタマーハラスメント(カスハラ)防止に関する措置は、この日から全事業主に義務として課されています。
「準備が追いつかないまま施行日を迎えてしまった」という事業主の方は、まず落ち着いて現状を整理してください。施行日を過ぎたからといって即座に行政処分が下るわけではありませんが、義務が発生している以上、一日でも早く初期整備を始めることが重要です。この記事では、未整備のまま施行日を迎えた場合に何から手をつけるべきかを、法令根拠とともに順を追って説明します。
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まず確認すること:義務の全体像
根拠法令と指針
カスハラ防止措置の根拠は、労働施策総合推進法第33条(改正後)です。 (2026年8月時点) https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132
具体的な措置内容は、2026年2月26日に告示された厚生労働省告示第51号(カスハラ防止指針)に定められています。 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf
対象は全事業主
労働者を1人でも雇用していれば、企業規模を問わず義務の対象です。中小企業・個人事業主・非営利法人も例外ではありません。猶予期間や経過措置はありません。
義務不履行のリスク
行政は事業主に対して報告を求めることができます。虚偽の報告や報告の拒否には20万円以下の過料が適用されます。また、措置義務に違反して勧告を受け、その勧告に従わない場合は企業名公表の対象となり得ます(労働施策総合推進法第42条第2項)。
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施行日を過ぎた今、最初の48時間でやること
ステップ1:現状の「穴」を把握する
整備が遅れている場合、まず何が不足しているかを書き出します。指針が求める措置は大きく次の柱に整理できます。
- 事業主の方針の明確化と周知
- 相談体制の整備
- 被害を受けた労働者へのケア
- 再発防止のための取組
これらのうち、どこまで着手できているかを確認することが出発点です。現状把握に迷う場合は、カスハラシールドの無料診断ツールを活用して、自社の整備状況を確認する材料にしてください。
ステップ2:「方針の明確化」だけでも今日中に着手する
措置の中で最も早く着手できるのが、事業主としての方針の明確化です。「当社はカスタマーハラスメントを容認しない」という立場を文書化し、社内に周知するだけでも、義務の一部に向けた初期整備を始めることになります。
この文書は就業規則の改定を待たなくても、社内通達・掲示・メール配信などの形で先行して出すことができます。ただし、最終的には就業規則や社内規程への反映が必要です。
ステップ3:相談窓口を暫定的に設置する
相談体制がまったくない場合は、既存の人事担当者や総務担当者を暫定的な相談受付窓口として指定し、その旨を社内に周知します。外部の相談窓口(社労士事務所や外部EAP等)を利用する場合は、契約状況を確認してください。
完全な体制が整っていなくても、「誰に相談すればよいか」が従業員に伝わっている状態を作ることが先決です。
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次の2週間でやること
規程・マニュアルの整備を始める
方針の明確化と相談窓口の設置が済んだら、規程・対応マニュアルの整備に着手します。規程の雛形や記載例については、カスハラシールドの雛形ページを確認材料として活用してください。
規程に盛り込むべき主な項目は次のとおりです。
- カスタマーハラスメントの定義
- 禁止行為の例示
- 相談・報告の手順
- 事業主・管理職・従業員それぞれの役割
- 被害を受けた従業員へのケアの方針
- 悪質な顧客への対応方針(取引停止・警察への相談等を含む)
管理職への周知と研修の計画
規程を作成しても、管理職が内容を理解していなければ機能しません。管理職向けの説明会や研修を計画し、日程を確定させます。外部研修サービスを利用する場合は、カスハラ防止指針の内容に沿ったプログラムかどうかを確認してください。
記録の整備を始める
カスハラ事案が発生した場合に備え、相談・対応の記録を残す仕組みを作ります。記録がなければ、事後の対応や行政への報告に支障が生じます。専用のシートや台帳を用意し、担当者が記録を残す習慣をつけます。
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同時に確認すべき:求職者等へのセクシュアルハラスメント
2026年10月1日の施行日には、カスハラ防止措置と同時に、求職者等へのセクシュアルハラスメントに関する措置義務も施行されています。根拠は雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)第13条(改正後)です。 (2026年8月時点) https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000113
具体的な措置内容は、2026年2月26日に告示された求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(厚生労働省告示第52号)に定められています。 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662589.pdf
採用活動を行っている事業主は、カスハラ対策と並行して、求職者等へのセクシュアルハラスメントへの対応も確認してください。求職者等セクシュアルハラスメント防止規程の整備や、採用担当者への周知が必要です。
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「完全に整備できていない」状態でも動き続けることが重要
義務が発生している以上、「準備が整ってから」という姿勢は通用しません。一方で、一度に全項目を完璧に整備しようとすると動けなくなります。
重要なのは、「今日から初期整備を始めている」という事実を積み重ねることです。方針の明確化→相談窓口の暫定設置→規程の整備→研修の実施、という順序で着実に進めてください。
整備の優先順位や自社の現状把握に迷う場合は、カスハラシールドのガイドページも参考にしてください。
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よくある質問
施行日を過ぎてしまいましたが、今から整備を始めても意味がありますか?
意味があります。義務は2026年10月1日から発生していますが、行政の対応は段階的なものです。報告を求められた際に「整備中である」という事実と進捗を示せるかどうかが重要です。一日でも早く初期整備を始めることが、リスクを低減する上で有効です。
就業規則の改定が間に合っていません。どうすればよいですか?
就業規則の改定を待たずに、社内通達や掲示の形で方針を周知することから始めてください。就業規則への反映は並行して進め、できる限り早期に完了させることを目指します。
相談窓口は専任担当者がいないと設置できませんか?
専任担当者がいなくても設置できます。既存の人事・総務担当者を暫定的な窓口として指定し、その旨を社内に周知することで、相談体制の初期整備を始めることができます。外部の専門機関と連携する方法もあります。
義務に違反した場合、すぐに罰則が適用されますか?
措置義務違反そのものに直接罰則が適用されるわけではありません。行政から報告を求められた際に虚偽の報告をしたり報告を拒否したりした場合に20万円以下の過料が適用されます。また、勧告を受けてその勧告に従わない場合は企業名公表の対象となり得ます(労働施策総合推進法第42条第2項)。
求職者等へのセクシュアルハラスメントの対策も同時に進める必要がありますか?
はい。求職者等へのセクシュアルハラスメントに関する措置義務も2026年10月1日から施行されています。採用活動を行っている事業主は、カスハラ対策と並行して、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(告示第52号)に基づく対応を進める必要があります。 --- 本記事は一般情報であり、個別の法的助言・判断ではありません。具体的な法的判断や個別事案への対応については、社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください。