カスハラ相談窓口 担当者不在 代替体制
カスハラ相談窓口の担当者不在時 代替体制の整備方法
公開日 2026-10-18・更新日 2026-10-18
# カスハラ相談窓口の担当者不在時 代替体制の整備方法
カスハラ(顧客等からの著しい迷惑行為)の相談窓口を設けても、担当者が不在のときに相談を受け付けられなければ、窓口としての機能を果たせません。2026年10月1日に施行された改正労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(以下「労働施策総合推進法」)第33条および厚生労働省告示第51号(カスハラ防止指針)は、全事業主に対してカスハラ防止のための体制整備を義務付けています。担当者不在時の代替体制は、その義務を実質的に果たすうえで欠かせない要素です。
この記事では、担当者が不在になる場面を整理したうえで、代替体制の設計・運用に必要な考え方と実務上のポイントを解説します。
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なぜ担当者不在時の体制が重要なのか
窓口の「空白」が生む問題
相談窓口は、設置するだけでは義務を果たしたことになりません。カスハラ防止指針(告示51号)は、相談に応じ適切に対応するための体制整備を事業主の義務として定めています。担当者が休暇・出張・退職などで不在になった場合に相談を受け付けられない状態が続くと、次のような問題が生じます。
- 被害を受けた労働者が相談できず、精神的負担が長期化する
- 相談の遅れによって事案が深刻化し、対応コストが増大する
- 窓口が形骸化し、体制整備の義務を実質的に果たせていないと評価されるリスクがある
担当者不在時の代替体制は、窓口を「常時機能させる」ための仕組みとして位置づける必要があります。
法改正前の情報との違い
インターネット上にはカスハラ対応に関する記事が多数ありますが、法改正前の情報に基づく記事は、現行の義務内容と異なる場合があります。2026年10月1日施行の現行法では、全事業主が措置を講じる義務を負っています。過去の記事を参照する際は、現行の告示51号および労働施策総合推進法第33条の内容と照合してください。
参考:厚生労働省告示第51号(カスハラ防止指針) https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf (2026年10月時点)
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担当者不在が生じる主な場面
代替体制を設計するには、まず「不在」がどのような場面で発生するかを把握することが出発点です。
計画的な不在
- 年次有給休暇・育児休業・介護休業などの取得
- 出張・外出・研修への参加
- 担当者の異動・退職
突発的な不在
- 急病・体調不良による当日欠勤
- 担当者自身がカスハラ被害を受けており、対応から外れる必要がある場合
- 担当者が当事者(加害者側・被害者側)と利害関係にある場合
突発的な不在は事前に予測できないため、計画的な不在への対応とは別に、緊急時のルートを用意しておく必要があります。
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代替体制の設計:基本的な考え方
複数担当制の導入
最も基本的な対策は、相談窓口の担当者を複数名指定することです。一人の担当者に窓口機能を集中させると、その人が不在になるだけで窓口が機能しなくなります。
複数担当制を設ける際のポイントは以下のとおりです。
- 主担当と副担当(バックアップ担当)を明確に定める
- 担当者ごとの役割分担(一次受付・記録・上申など)を文書化する
- 担当者全員が同じ研修・情報共有を受けており、対応水準が均一になるよう整備する
担当者が複数いても、それぞれの役割や引き継ぎ手順が不明確では機能しません。役割分担を規程や手順書に明記することが重要です。
引き継ぎ手順の文書化
担当者が不在になる際には、進行中の相談案件の状況を後任者に確実に引き継ぐ手順が必要です。引き継ぎ手順書には、少なくとも次の項目を含めることを検討してください。
- 現在対応中の相談案件の概要と進捗状況
- 相談者への連絡状況と次のアクション
- 関係する記録の保管場所とアクセス方法
- 緊急度の判断基準と上申先
引き継ぎ手順書は、担当者が急に不在になった場合でも第三者が読んで対応できる水準で作成することが求められます。
不在時の受付方法の明示
相談者(労働者)に対して、担当者不在時にどこへ相談すればよいかを事前に周知しておくことも重要です。窓口の連絡先だけでなく、不在時の代替連絡先や対応時間を明示することで、相談者が「誰に相談すればよいかわからない」という状況を防ぎます。
周知の方法としては、社内イントラネット・掲示板・ハンドブックなどが考えられます。相談窓口の案内に「担当者不在時は○○へ連絡」という記載を加えるだけでも、相談者の不安を軽減できます。
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代替体制の運用:実務上のポイント
記録の共有と情報管理
複数担当制を機能させるには、相談記録を担当者個人が管理するのではなく、担当者間で共有できる形で保管する必要があります。ただし、相談内容は機密性が高い情報であるため、アクセス権限の設定や情報管理のルールを併せて整備することが求められます。
記録の共有方法を検討する際は、次の点を確認してください。
- 記録へのアクセスを担当者に限定しているか
- 記録の保管・廃棄のルールが定められているか
- 相談者のプライバシーに配慮した管理ができているか
外部相談窓口の活用
社内の担当者が全員不在になる状況や、社内での対応が困難な案件(担当者が当事者と利害関係にある場合など)に備えて、外部の相談窓口を補完的に活用することも選択肢の一つです。外部窓口としては、社会保険労務士・弁護士・EAP(従業員支援プログラム)事業者などが挙げられます。
外部窓口を活用する場合は、社内窓口との役割分担・情報共有の範囲・費用負担などを事前に取り決めておく必要があります。
定期的な体制の見直し
担当者の異動・退職・組織変更などに伴い、代替体制が形骸化するリスクがあります。少なくとも年に一度は体制を見直し、担当者の名簿・連絡先・手順書を最新の状態に保つことを習慣化してください。
体制の見直しは、カスハラ防止に関する研修や規程の更新と合わせて実施すると効率的です。
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規程・手順書への反映
代替体制を実際に機能させるには、口頭の申し合わせだけでなく、規程や手順書に明記することが重要です。規程に定める項目の例を以下に示します。
- 相談窓口の担当者(主担当・副担当)の指定方法
- 担当者不在時の代替対応者および連絡先
- 引き継ぎの手順と記録の管理方法
- 外部窓口を利用する場合の条件と手続き
- 体制の見直し時期と責任者
規程の雛形や整備の手順については、カスハラシールドの雛形ページ(/hinagata)も参考にしてください。
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体制整備の全体像を確認する
担当者不在時の代替体制は、カスハラ防止体制全体の一部です。相談窓口の設置・運用だけでなく、方針の策定・研修の実施・事案発生後の対応手順など、体制整備の全体像を把握したうえで、不在時対応を位置づけることが重要です。
体制整備の全体像については、カスハラシールドのガイドページ(/guide)で詳しく解説しています。また、自社の体制整備状況を確認したい場合は、診断ページ(/shindan)もご活用ください。
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罰則と企業名公表について
労働施策総合推進法第33条に基づく措置義務を果たさない場合、行政指導・勧告の対象となる可能性があります。勧告に従わない場合は企業名公表の対象となり得ます(根拠:改正後第42条第2項)。
なお、虚偽の報告や報告の拒否に対しては過料が適用される場合がありますが、これは報告義務違反に対するものであり、措置義務違反そのものへの罰則ではありません。
参考:e-Gov 労働施策総合推進法 https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132 (2026年10月時点)
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よくある質問
担当者が一人しかいない場合、どのように代替体制を整えればよいですか?
担当者が一人の場合でも、不在時に対応できる代替者を指定しておく必要があります。上長や他部門の管理職を副担当として指定し、引き継ぎ手順を文書化することが基本的な対応です。社内での代替が困難な場合は、外部の相談窓口(社会保険労務士・弁護士・EAP事業者など)を補完的に活用することも選択肢の一つです。
担当者が退職した場合、後任が決まるまでの間はどうすればよいですか?
後任が決まるまでの間も、相談窓口を機能させる義務は継続します。暫定的な代替担当者を速やかに指定し、相談者への周知を更新してください。担当者の退職が見込まれる場合は、引き継ぎ期間を設けて情報・手順を移管することが重要です。
担当者自身がカスハラ被害を受けている場合、その担当者が相談を受けてよいですか?
担当者自身が被害を受けている場合、精神的な負担から適切な対応が困難になる可能性があります。このような場合は、担当者を対応から外し、代替担当者が対応する体制を整えることが求められます。担当者が当事者と利害関係にある場合も同様です。
外部相談窓口を設けた場合、社内窓口は不要になりますか?
外部相談窓口は社内窓口の補完として活用するものであり、社内窓口の設置・運用義務がなくなるわけではありません。カスハラ防止指針(告示51号)が求める体制整備は、社内での対応体制を前提としています。外部窓口との役割分担を明確にしたうえで、社内窓口も継続して機能させてください。
代替体制の整備状況を行政に報告する必要がありますか?
現行の制度では、体制整備の内容を定期的に行政へ報告する一般的な義務は定められていませんが、行政から報告を求められた場合には誠実に対応する必要があります。虚偽の報告や報告の拒否は過料の対象となる場合があります。体制整備の内容を文書化・記録しておくことで、求められた際に対応しやすくなります。 --- 本記事は一般情報であり、個別の法的助言・判断ではありません。具体的な対応については、社会保険労務士・弁護士などの専門家にご相談ください。