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カスハラ 相談窓口 ヒアリング

カスハラ相談窓口のヒアリング手順|相談者への配慮と記録のポイント

公開日 2026-09-06・更新日 2026-09-06

# カスハラ相談窓口のヒアリング手順|相談者への配慮と記録のポイント

カスタマーハラスメント(カスハラ)の相談窓口を設けた後、実際に相談が入ったとき、担当者はどのように聞き取りを進めればよいのかを迷う場面が少なくありません。この記事では、2026年10月1日施行の改正労働施策総合推進法(第33条)および厚生労働省告示第51号(カスハラ防止指針)に基づき、相談者への配慮を軸に置いたヒアリングの手順と記録のポイントを整理します。

対象は労働者1人以上を雇用するすべての事業主です。企業規模による猶予や経過措置はありません。相談体制の整備は義務であり、任意の取組ではありません。

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なぜヒアリングの質が重要なのか

相談窓口を設置しても、ヒアリングの進め方が不適切だと、相談者が「話してよかった」と感じられず、次の相談をためらうようになります。また、事実確認が不十分なまま対応を進めると、後の措置の妥当性が問われる場面が生じます。

カスハラ防止指針(告示51号)は、相談に応じ適切に対応するための体制整備を事業主の義務として定めています。ヒアリングはその体制の中核を担う工程です。 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf(2026年9月時点)

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ヒアリング前の準備

担当者の選定と役割分担

ヒアリングを担当する人は、相談者と利害関係のない立場であることが基本です。直属の上司が担当すると、相談者が萎縮したり、情報が偏ったりするリスクがあります。人事担当者、コンプライアンス担当者、または外部の相談窓口委託先など、中立性を保てる人を事前に決めておきます。

担当者が複数いる場合は、主担当と記録担当を分けると、聞き取りに集中しやすくなります。

場所と時間の確保

相談者が安心して話せる環境を整えます。他の従業員に会話が聞こえない個室を用意し、時間は余裕をもって確保します。「30分で終わらせる」という前提を相談者に伝えると、話を急かす印象を与えるため、目安の時間は「1時間程度を予定しています」と伝えるにとどめます。

オンラインで実施する場合は、録音・録画の可否を事前に確認し、相談者の同意を得た上で進めます。

ヒアリングシートの準備

聞き取る項目をあらかじめシートにまとめておくと、担当者が変わっても一定の質を保てます。シートの雛形については /hinagata で確認できます。

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ヒアリングの手順

ステップ1:冒頭の説明と同意確認

ヒアリングを始める前に、以下の点を相談者に説明します。

  • 相談内容は関係者以外に開示しないこと
  • 相談したことを理由に不利益な取扱いをしないこと
  • ヒアリングの目的(事実確認と適切な対応のため)
  • 記録の取り方(メモ・録音など)と保管方法

これらを口頭で伝えるだけでなく、書面でも渡すと相談者の安心感につながります。

ステップ2:相談者の状況を聞く

最初から事実関係の詳細を聞き出そうとせず、まず相談者の状態を確認します。「今日はお話しいただいてありがとうございます。まず、今のお気持ちや体調を教えていただけますか」という入り方が、相談者の緊張をほぐすきっかけになります。

相談者が精神的に不安定な状態にある場合は、事実確認を急がず、産業医や外部の相談機関につなぐことを先に検討します。

ステップ3:出来事の概要を聞く

相談者が話せる状態になったら、出来事の概要を聞きます。このとき、担当者が誘導的な質問をしないよう注意します。

避けるべき質問の例:

  • 「それはひどいですね、相手は悪意があったんですよね?」(評価を先取りする)
  • 「なぜそのとき言い返さなかったんですか?」(相談者を責める)

推奨する質問の例:

  • 「いつ、どこで、何があったか、思い出せる範囲で教えてください」
  • 「そのとき相手はどのような言葉を使いましたか」
  • 「その場に他にいた人はいましたか」

オープンクエスチョン(「どのような」「どのくらい」)を中心に使い、クローズドクエスチョン(「はい・いいえ」で答えられる質問)は補足確認に限定します。

ステップ4:具体的な事実を確認する

概要を把握した後、以下の項目を確認します。

  • 発生日時・場所・状況(店舗内、電話、オンラインなど)
  • 行為者(顧客・取引先・その他)の特定情報(氏名、会員番号、連絡先など)
  • 行為の内容(言葉、行動、繰り返しの有無)
  • 目撃者・同席者の有無
  • 相談者が受けた影響(業務への支障、心身の状態)
  • 過去に同様の事案があったか

記録は相談者の言葉をできるだけそのまま書き留めます。担当者の解釈や評価を混ぜると、後の事実確認で混乱が生じます。

ステップ5:相談者の希望を確認する

事実確認が終わったら、相談者がどのような対応を望んでいるかを聞きます。「今後どのような対応を希望されますか」と尋ね、相談者の意向を記録します。

ただし、相談者の希望がすべて実現できるとは限りません。「ご希望を踏まえて検討します」と伝え、確約はしません。

ステップ6:次のステップの説明

ヒアリングの終わりに、今後の流れを説明します。

  • 事実確認のために関係者への聞き取りを行う場合があること
  • 対応方針が決まり次第、相談者に連絡すること
  • 連絡の時期の目安(例:「1週間以内を目標にご連絡します」)

相談者が「その後どうなったか分からない」という状態に置かれると、相談窓口への信頼が損なわれます。進捗の連絡を怠らないことが重要です。

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ヒアリング後の記録と管理

記録の作成

ヒアリング終了後、できるだけ早く記録を文書化します。時間が経つと記憶が薄れ、記録の精度が下がります。記録には以下を含めます。

  • ヒアリング実施日時・場所・担当者名
  • 相談者の氏名・所属・連絡先
  • 聞き取った事実の概要(相談者の言葉を中心に)
  • 相談者の希望
  • 次のステップと担当者

記録の保管

記録は関係者以外がアクセスできない形で保管します。紙の場合は施錠できる場所、電子データの場合はアクセス権限を限定したフォルダに保存します。保管期間は就業規則や社内規程に定めておくことが望まれます。

二次被害の防止

ヒアリングの内容が職場内に漏れると、相談者が「あの人が告げ口した」と見られるリスクがあります。担当者は情報管理の徹底を意識し、関係者への情報共有は必要最小限にとどめます。

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相談者への配慮で特に注意すること

相談者を責めない

「なぜもっと早く相談しなかったのか」「その対応では仕方ない」といった言葉は、相談者を傷つけます。担当者は評価や批判を控え、事実を聞くことに徹します。

感情を受け止める

相談者が泣いたり、怒りを表したりする場面があります。そのとき、担当者が「落ち着いてください」と急かすのは逆効果です。「それはつらかったですね」と感情を受け止める一言を添えた上で、話を続けます。

複数回に分ける

一度のヒアリングで全てを聞き出そうとすると、相談者の負担が大きくなります。状況に応じて「今日はここまでにして、次回続きをお聞きしてもよいですか」と提案することも選択肢です。

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体制整備の全体像を確認する

ヒアリングは相談対応の一工程に過ぎません。カスハラ防止のための体制整備全体については /guide で確認できます。自社の対応状況を点検したい場合は /shindan も活用できます。

2026年10月1日の施行に向けて、相談窓口の設置だけでなく、担当者のヒアリングスキルの確認や記録様式の整備を含めた初期整備を始めることが求められます。

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参考一次資料(2026年9月時点)

  • 厚生労働省告示第51号(カスハラ防止指針): https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf
  • e-Gov 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律: https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132

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本記事は一般情報であり、個別の法的助言・判断ではありません。具体的な対応については、社会保険労務士や弁護士などの専門家にご相談ください。

よくある質問

相談者が「記録を残さないでほしい」と言った場合はどうすればよいですか

相談者の意向は尊重しますが、記録を一切残さないことは事業主の対応義務の観点から難しい場合があります。「相談者の氏名を伏せた形で事案の概要だけ記録する」など、相談者の不安を軽減しながら最低限の記録を残す方法を相談者と一緒に検討します。

相談者が「相手(顧客)に直接謝罪させてほしい」と希望した場合、応じる義務はありますか

相談者の希望を確認することは重要ですが、顧客への対応方法は事業主が判断します。相談者の希望をそのまま実現する義務はなく、「ご希望を踏まえて対応を検討します」と伝えた上で、実現可能な対応を検討します。

電話での相談を受けた場合、ヒアリングはどのように進めますか

電話でも基本的な手順は対面と同じです。ただし、相談者の表情が見えないため、言葉の選び方や間の取り方に一層の注意が必要です。録音する場合は相談者の同意を得た上で行います。電話での初回相談は概要の把握にとどめ、詳細は改めて対面またはオンラインで聞き取ることも選択肢です。

相談者が「同僚にも同じことが起きている」と言った場合、その同僚にも聞き取りをしますか

同僚が関係者として事実確認に必要な場合は、その同僚の同意を得た上で聞き取りを行います。ただし、相談者から聞いた情報をそのまま同僚に伝えると、相談者が特定されるリスクがあります。情報の開示範囲は慎重に判断します。

ヒアリングの担当者に特別な資格は必要ですか

法令上、特定の資格は求められていません。ただし、担当者が適切なヒアリングスキルを持っていることが対応の質に直結します。社内研修の実施や、外部の専門機関への委託も含めて体制を検討することが望まれます。 ---