カスハラ 電話 切るタイミング 社内基準
カスハラ電話対応:切るタイミングの社内基準の作り方
公開日 2026-11-02・更新日 2026-11-02
# カスハラ電話対応:切るタイミングの社内基準の作り方
電話でのカスタマーハラスメント(カスハラ)対応において、「どの段階で電話を切ってよいか」は現場担当者が最も判断に迷う場面のひとつです。結論から言えば、事業主はあらかじめ「電話を終了する判断基準」を社内で文書化し、担当者が一人で抱え込まずに対応できる体制を整えることが義務です。
2026年10月1日に施行された労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(以下「労働施策総合推進法」)第33条(改正後)および厚生労働省告示第51号(カスハラ防止指針)に基づき、全事業主はカスハラから労働者を守るための措置を講じる義務を負っています。
この記事では、電話対応における「切るタイミング」の社内基準をどのように設計するかを、法的根拠とともに実務的に解説します。
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なぜ「電話を切る基準」を社内で定める必要があるのか
担当者個人の判断に委ねることのリスク
電話でのカスハラは、長時間の拘束、暴言の繰り返し、脅迫的な言動など多様な形で現れます。こうした状況で担当者が「自分の判断で電話を切ってよいのか」と迷い、対応を続けてしまうことは、精神的・身体的な健康被害につながります。
事業主が明確な基準を設けずに担当者個人の裁量に任せることは、労働者保護の観点から問題があります。厚生労働省告示第51号(カスハラ防止指針)は、事業主が取るべき措置として「被害を受けた労働者への配慮」「再発防止のための体制整備」などを明示しており、対応基準の文書化はその一環です。
参考:厚生労働省告示第51号(カスハラ防止指針) https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf
法改正前の情報との違いに注意
インターネット上には法改正前の情報に基づく記事が残っており、現行の義務内容と異なる場合があります。2026年10月1日施行の改正法では、全事業主が措置を講じる義務を負っています。企業規模による猶予・経過措置はありません。
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電話を切るタイミングの判断基準:3つの軸
社内基準を設計する際は、「内容」「時間」「状況」の3つの軸で判断条件を整理することが実務上有効です。
軸1:発言内容による判断
以下のような発言が確認された場合、電話を終了する判断基準として設定することが考えられます。
- 暴言・侮辱的な言葉が繰り返される
- 担当者個人への脅迫・恫喝と受け取れる発言がある
- 性的な言動や差別的な発言がある
- 業務と無関係な要求(金銭の要求、謝罪文の強要など)が続く
重要なのは、「1回でも該当したら即終了」なのか、「警告後も継続した場合に終了」なのかを、あらかじめ社内で決めておくことです。判断基準が曖昧だと、担当者は結局その場で一人で判断することになります。
軸2:通話時間による判断
同一の要求や主張が繰り返され、会話が実質的に進展しない状態が一定時間続いた場合を終了条件として設定する方法があります。具体的な時間の設定は業種・業態・対応内容によって異なりますが、「〇分を超えて同一内容が繰り返された場合」という形で数値化することで、担当者が判断しやすくなります。
軸3:状況・エスカレーションによる判断
担当者一人で対応を続けることが困難と判断した場合に、上長や専任担当者に引き継ぐフローを設けることも基準の一部です。引き継ぎ後も状況が改善しない場合の最終的な電話終了権限を誰が持つかを明確にしておく必要があります。
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社内基準を文書化する際の構成要素
基準書に盛り込むべき項目
電話対応の終了基準を社内文書として整備する際は、以下の項目を含めることが実務上の出発点となります。
- 目的と根拠:労働施策総合推進法第33条(改正後)および告示第51号に基づく措置であることを明記する
- 対象となる行為の定義:どのような言動がカスハラに該当するかを具体的に列挙する
- 電話終了の判断条件:内容・時間・状況の各軸で条件を明示する
- 終了時の手順:警告の言葉、終了の告知、通話記録の方法を定める
- エスカレーション先:担当者が一人で判断しなくてよい体制を明示する
- 記録・報告の義務:対応内容を記録し、上長・担当部署に報告する手順を定める
- 担当者へのフォローアップ:対応後のケア体制を明示する
社内規程の雛形や整備の参考として、カスハラシールドの書式・ひな形ページ(/hinagata)もご活用ください。
警告の言葉を定型化する
電話を終了する前に担当者が伝える言葉も、あらかじめ定型文として定めておくことが重要です。「このままお電話を続けることが難しい状況です。一度お電話を終了させていただきます」といった形で、担当者が自分の言葉を考えなくてよい状態にしておくことで、心理的な負担を軽減できます。
定型文は「警告」「終了の告知」「記録」の3段階に分けて整備することが実務上の基本です。
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体制整備:担当者を一人にしない仕組み
モニタリングと複数対応
電話対応中に上長や別の担当者がリアルタイムでモニタリングできる体制を整えることは、担当者の孤立を防ぐうえで有効です。また、カスハラが疑われる電話については複数名で対応する体制を設けることも、基準書に盛り込む選択肢のひとつです。
相談窓口と記録の整備
対応後に担当者が相談できる窓口を設けること、および対応内容を記録・共有する仕組みを整えることは、告示第51号が示す措置の一環です。記録は再発防止や、万が一の際の事実確認にも役立ちます。
体制整備の全体像については、カスハラシールドのガイドページ(/guide)で詳しく解説しています。
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事業主が負う義務の範囲
全事業主が対象
労働施策総合推進法第33条(改正後)に基づくカスハラ対策の義務は、全事業主が対象です。企業規模による猶予・経過措置はありません。
参考:e-Gov 労働施策総合推進法 https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132 (2026年11月時点)
勧告と企業名公表
事業主が措置義務を履行しない場合、行政による指導・勧告の対象となります。勧告に従わない場合は企業名公表の対象となり得ます(改正後第42条第2項)。
現状確認の出発点として
自社の対応状況を確認する出発点として、カスハラシールドの診断ページ(/shindan)をご利用いただけます。
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実務上の注意点
基準は「作って終わり」にしない
社内基準を文書化しても、担当者に周知されていなければ機能しません。研修や勉強会を通じて基準の内容を共有し、定期的に見直す仕組みを設けることが重要です。
業種・業態に応じた調整
電話対応の性質は業種によって異なります。コールセンター、医療・介護、小売、飲食など、それぞれの現場の実態に合わせて基準を調整することが必要です。ただし、基準の調整は各事業主が自社の状況を踏まえて行うものであり、この記事は一般的な情報を提供するものです。
法改正前の情報との混同を避ける
社内で過去に作成した対応マニュアルや規程がある場合、法改正前の情報に基づいている可能性があります。現行の義務内容と異なる場合があるため、2026年10月1日施行の改正法および告示第51号の内容と照らし合わせて確認することをお勧めします。
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まとめ
カスハラ電話対応における「切るタイミング」の社内基準は、担当者を守るための重要な仕組みです。2026年10月1日施行の労働施策総合推進法第33条(改正後)および厚生労働省告示第51号(カスハラ防止指針)に基づき、全事業主はこうした措置を講じる義務を負っています。
「内容」「時間」「状況」の3つの軸で判断条件を整理し、定型文・エスカレーション先・記録方法をセットで文書化することが、社内基準整備の出発点です。基準を作成したら、担当者への周知と定期的な見直しを忘れずに行ってください。
参考一次資料:
- 厚生労働省告示第51号(カスハラ防止指針): https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf
- e-Gov 労働施策総合推進法: https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132
(いずれも2026年11月時点)
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免責事項:この記事は一般情報であり、個別の法的助言・判断ではありません。個別事案については、社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください。
よくある質問
電話を切ることは法的に問題ないのですか?
カスハラに該当する言動が続いている場合に電話を終了することは、労働者保護の観点から事業主が取るべき措置の一環です。ただし、個別の事案における法的判断はこの記事の範囲外です。社内基準を整備したうえで、必要に応じて専門家に相談することをお勧めします。
社内基準はどのような形式で作ればよいですか?
就業規則の別規程として整備する方法、対応マニュアルとして整備する方法など、形式は事業主が選択できます。重要なのは、担当者が参照できる形で文書化され、周知されていることです。書式の参考としてひな形ページ(/hinagata)をご活用ください。
警告なしに電話を切ることはできますか?
社内基準において「警告なしに即終了できる条件」を定めることは可能です。たとえば、脅迫・恫喝・暴言が明確な場合などを即終了条件として設定する事業主もあります。基準の内容は各事業主が自社の実態に応じて設計するものです。
電話対応の記録はどのように残せばよいですか?
通話内容の要約、発言の記録、対応日時、担当者名、エスカレーションの有無などを記録することが一般的です。記録様式も社内基準の一部として整備しておくと、担当者の負担を軽減できます。
2026年10月1日以前に作成した社内規程はそのまま使えますか?
法改正前の情報に基づく規程は、現行の義務内容と異なる場合があります。2026年10月1日施行の改正法および厚生労働省告示第51号の内容と照らし合わせて確認・見直しを行うことをお勧めします。 ---