カスハラ研修 非正規社員 対象
カスハラ研修はパート・アルバイトも対象?非正規社員の扱いを正しく理解する
公開日 2026-09-29・更新日 2026-09-29
# カスハラ研修はパート・アルバイトも対象?非正規社員の扱いを正しく理解する
カスハラ研修の対象にパート・アルバイトを含めるかどうか迷っている事業主の方へ、結論から述べます。2026年10月1日に施行される改正労働施策総合推進法のカスハラ防止措置義務は、雇用形態を問わず全ての労働者を保護対象としており、研修を含む措置は非正規社員にも適切に届く形で整備することが求められます。
以下では、法令の根拠、研修対象の考え方、実務上の設計ポイントを順に説明します。
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カスハラ防止措置義務の法的根拠
カスハラ防止に関する事業主の措置義務は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)第33条(改正後)に定められています。
(e-Gov 労働施策総合推進法: https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132 /2026年9月時点)
この改正は令和7年法律第63号として2025年6月11日に公布され、主要部分の施行日は2026年10月1日です。措置の具体的な内容は、2026年2月26日に告示された厚生労働省告示第51号(カスハラ防止指針)に示されています。
(カスハラ防止指針: https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf /2026年9月時点)
この義務は全事業主に適用されます。企業規模による猶予や経過措置はありません。
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「労働者」には非正規社員が含まれる
労働施策総合推進法における「労働者」は、正規・非正規の区別をしていません。パートタイム労働者、アルバイト、契約社員、派遣労働者なども、事業主が雇用する労働者として保護の対象に含まれます。
カスハラ防止指針(告示51号)が求める措置は、職場で働く全ての労働者がカスタマーハラスメントから守られることを前提に設計されています。したがって、研修その他の措置を正規社員だけに実施し、非正規社員を除外する設計は、措置義務の趣旨に沿いません。
実務上、パートやアルバイトが顧客と直接接する機会が多い業種(小売、飲食、宿泊、介護など)では、むしろ非正規社員こそカスハラ被害に遭いやすい立場にあります。研修対象から外すことは、保護が最も必要な層を取り残すことになりかねません。
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研修設計における非正規社員の位置づけ
研修の目的を整理する
カスハラ研修には大きく二つの目的があります。
一つ目は、労働者自身がカスハラを認識し、適切に対応・報告できるようにすることです。これは正規・非正規を問わず、顧客対応に関わる全ての労働者に必要な内容です。
二つ目は、管理職・責任者がカスハラ事案を適切に把握・対処できるようにすることです。こちらは主に管理監督者向けの内容ですが、非正規社員がリーダー・チーフなどの役割を担っている場合は同様に対象となります。
雇用形態別に内容を調整する考え方
研修の「対象に含めるかどうか」ではなく、「どのような内容・形式で届けるか」を検討することが実務上の正しいアプローチです。
たとえば、勤務日数や勤務時間が限られているパート・アルバイトに対しては、長時間の集合研修が難しい場合があります。その場合でも、以下のような工夫で研修機会を確保することが考えられます。
- 短時間で完結するeラーニング形式の導入
- 入職時オリエンテーションへの組み込み
- 業務マニュアルや掲示物との組み合わせ
- 定期的なミーティングでの事例共有
形式を柔軟にしながらも、カスハラの定義・判断基準・報告ルートという核心的な内容は省略しないことが重要です。
派遣労働者の扱い
派遣労働者については、派遣先事業主と派遣元事業主の双方に措置義務が生じます。派遣先は就業環境の整備(相談窓口の周知など)を、派遣元は雇用管理上の措置(研修の実施など)をそれぞれ担う構造になっています。派遣スタッフを多く活用している事業主は、派遣元との役割分担を明確にしたうえで研修計画を立てることが求められます。
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措置義務の具体的な内容と研修の位置づけ
カスハラ防止指針(告示51号)が示す措置の柱は、大きく以下の通りです。
- 事業主の方針の明確化と周知・啓発
- 相談体制の整備
- 事案発生後の迅速かつ適切な対応
- プライバシー保護と不利益取扱いの禁止
研修は「方針の周知・啓発」および「相談体制の周知」と密接に関連します。研修を通じて、カスハラとは何か、どこに相談すればよいか、会社はどのように対応するかを全労働者に伝えることが、措置義務の実質的な履行につながります。
詳しい措置の全体像については、カスハラシールド ガイドページで整理していますので、あわせてご確認ください。
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研修実施にあたって整備しておくべき社内文書
研修を実施するだけでなく、その前提となる社内文書を整えておくことが重要です。研修内容の根拠となる方針・規程がなければ、研修で伝える内容に一貫性が生まれません。
整備の対象として検討すべき文書には、以下が含まれます。
- カスハラ防止に関する基本方針(就業規則への反映または別規程)
- 相談窓口の設置・運用ルール
- 事案発生時の対応フロー
- 記録・報告様式
社内文書の初期整備を始める際は、規程ひな形ページを参考にしてください。
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義務違反となった場合のリスク
カスハラ防止措置は義務であり、対応しなかった場合は行政指導の対象となります。勧告に従わない場合は企業名公表の対象となり得ます。
また、報告義務(行政への報告)に対して虚偽の報告をしたり、報告を拒否したりした場合は過料の対象となります。
自社の対応状況を確認したい場合は、カスハラ対応状況チェックページをご活用ください。
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求職者等へのセクシュアルハラスメントについても確認を
2026年10月1日には、カスハラ防止措置義務と同時に、求職者等へのセクシュアルハラスメントに関する措置義務も施行されます。根拠は雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)第13条(改正後)であり、具体的な措置内容は2026年2月26日に告示された求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(告示52号)に定められています。
(e-Gov 男女雇用機会均等法: https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000113 /2026年9月時点) (求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針: https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662589.pdf /2026年9月時点)
採用活動に関わる担当者や面接官を対象とした研修・周知も、カスハラ研修と並行して整備を進めることが求められます。
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よくある質問
週数時間しか働かないアルバイトも研修対象に含める必要がありますか?
雇用形態や勤務時間数による除外は、法令上想定されていません。顧客対応を行う全ての労働者がカスハラ被害を受け得る立場にあるため、勤務時間が短いアルバイトであっても研修の対象として位置づけることが、措置義務の趣旨に沿います。形式は短時間のeラーニングや入職時説明への組み込みなど、実態に合わせて工夫することが考えられます。
派遣スタッフへの研修は派遣元が行えば派遣先は不要ですか?
派遣先と派遣元はそれぞれ異なる役割で措置義務を負います。派遣元が雇用管理上の研修を実施していても、派遣先は就業環境の整備(相談窓口の周知、事案対応など)について独自に対応する必要があります。役割分担を明確にしたうえで、双方が連携して対応することが求められます。
研修を実施した記録は残しておく必要がありますか?
法令上、記録保存の具体的な期間が明示されているわけではありませんが、措置を講じたことを示す記録(実施日、対象者、内容)を保管しておくことは、行政指導や相談対応の際に事業主の対応を示す根拠となります。記録の整備は実務上の観点から推奨されます。
研修内容はどこまで詳しくすればよいですか?
カスハラ防止指針(告示51号)が示す方針の周知・啓発の観点から、少なくとも「カスハラの定義と具体例」「相談窓口の場所と利用方法」「会社の対応方針」の三点を含めることが基本となります。管理職向けには、事案把握・対処の手順を加えた内容が求められます。
研修を外部委託する場合も、事業主の義務は果たせますか?
外部の研修プログラムを活用することは差し支えありませんが、自社の方針・相談窓口・対応フローと連動した内容になっているかを確認することが重要です。外部委託の有無にかかわらず、措置義務の責任は事業主にあります。委託先の内容が自社の実態と乖離していないかを事前に確認したうえで活用してください。 --- 本記事は一般情報であり、個別の法的助言・判断ではありません。具体的な対応については、社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください。