求職者等へのセクシュアルハラスメント 面接官 周知
求職者等へのセクシュアルハラスメント:面接官への周知範囲と方法
公開日 2026-09-26・更新日 2026-09-26
# 求職者等へのセクシュアルハラスメント:面接官への周知範囲と方法
2026年10月1日から、すべての事業主は求職者等へのセクシュアルハラスメントに関する措置義務を負います。この義務の中核のひとつが「周知・啓発」であり、面接を担当する社員への周知は特に重要な実施事項です。本記事では、面接官への周知が必要な理由、周知すべき内容の範囲、具体的な実施方法を順に説明します。
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なぜ面接官への周知が必要なのか
求職者等へのセクシュアルハラスメントとは、採用選考・インターンシップ・職場見学などの場面で、事業主または労働者が求職者等に対して行うセクシュアルハラスメントを指します。根拠法令は男女雇用機会均等法第13条(改正後)であり、対応指針は求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(厚生労働省告示第52号)です。 https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662589.pdf(2026年9月時点)
面接の場は、求職者等と事業主側の担当者が直接接触する最も典型的な場面です。面接官が指針の内容を理解していなければ、不適切な言動が生じるリスクが高まります。また、指針は事業主に対して、労働者が求職者等へのセクシュアルハラスメントを行わないよう周知・啓発することを措置義務の一内容として定めています。面接官はその周知・啓発の主要な対象者です。
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周知の対象範囲:誰に伝えるべきか
直接面接を担当する社員
最優先の周知対象は、採用面接・一次面接・最終面接を問わず、求職者等と対面または非対面(オンライン面接を含む)で接触するすべての社員です。役職・雇用形態を問わず、パートタイム労働者や契約社員が面接補助を担う場合も対象に含まれます。
採用プロセスに関与するすべての担当者
面接官に限らず、採用選考に関与する担当者全般が周知対象です。具体的には以下の役割を担う社員が含まれます。
- 採用説明会・会社見学の案内担当者
- インターンシップの受け入れ担当者
- 採用書類の受付・連絡を担当する事務担当者
- 採用判断に関与する管理職・役員
求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針は、「求職者等」の範囲を採用応募者だけでなく、インターンシップ参加者や職場見学者なども含む広い概念として整理しています。したがって、採用活動全般に関わる担当者を周知対象として設定することが適切です。
外部委託先・派遣労働者の扱い
採用業務の一部を外部委託している場合や、採用補助業務に派遣労働者を活用している場合は、自社の周知体制が直接及ばないケースがあります。この点については、委託契約や派遣先としての管理責任の観点から、自社の方針を共有する手順を検討することが実務上重要です。ただし、外部委託先・派遣元事業主への法的義務の詳細については、個別の状況に応じた確認が必要です。
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周知すべき内容の範囲
求職者等へのセクシュアルハラスメントの定義と具体例
面接官が最初に理解すべきは、何が求職者等へのセクシュアルハラスメントに該当するかです。求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(告示52号)は、職場におけるセクシュアルハラスメントと同様の類型(対価型・環境型)を採用選考等の場面に適用しています。
面接の場面で問題となりやすい言動の例としては、以下のようなものが考えられます。
- 採用・不採用と関係のない性的な質問(交際状況、結婚・出産の予定など)
- 外見・容姿に関する不必要なコメント
- 採用を条件とした性的な要求
- 面接後の個人的な連絡・誘い
これらが問題となる理由と、法令上の位置づけを面接官が理解していることが周知の出発点です。
事業主の方針と相談窓口
事業主が求職者等へのセクシュアルハラスメントを許容しないという方針を、面接官を含む担当者全員が把握している必要があります。また、求職者等から相談があった場合の受付窓口・対応手順についても、担当者が案内できる状態にしておくことが求められます。
不利益取扱いの禁止
求職者等が相談・申告を行ったことを理由とした不利益取扱い(採用選考上の不利益を含む)は禁止されています。面接官がこの点を理解していないと、相談を受けた際の対応が不適切になるリスクがあります。
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周知の具体的な方法
研修・説明会の実施
採用担当者向けの研修は、周知・啓発の中心的な手段です。研修では、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針の内容、具体的な禁止行為、相談対応の手順を扱います。採用シーズン前に実施することで、実際の面接場面への反映が期待できます。
研修の形式は集合研修・eラーニング・資料配布など複数の方法が考えられます。重要なのは、担当者が内容を理解したことを確認できる形で実施することです。
書面・電子媒体による周知
就業規則・社内規程・採用マニュアルへの記載、社内イントラネットへの掲示、メールによる通知などが有効な手段です。特に、採用担当者が業務開始前に参照できる形で情報を整備しておくことが実務上重要です。
規程の整備については、カスハラシールドの書式・ひな形ページで参考資料を確認できます。
周知の記録と確認
周知を実施したことの記録を残すことは、事業主が措置を講じたことを示す上で重要です。研修の実施記録、資料の配布記録、担当者の確認サインなどを整備しておくことを検討してください。
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施行日と対応の優先順位
2026年10月1日が施行日です。この日以降、すべての事業主(労働者1人以上)に措置義務が発生します。企業規模による猶予・経過措置はありません。
根拠法令:男女雇用機会均等法第13条(改正後) https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000113(2026年9月時点)
指針:求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(厚生労働省告示第52号) https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662589.pdf(2026年9月時点)
2026年9月時点で面接担当者への周知が未実施の場合は、施行日までに初期整備を始めることが求められます。対応状況の確認にはカスハラシールドの診断ページも活用できます。
なお、事業主が報告義務(虚偽報告・報告拒否)に違反した場合は過料20万円以下の対象となります。また、勧告に従わない場合は企業名公表の対象となり得ます(改正後第42条第2項)。
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求職者等へのセクシュアルハラスメントと職場内ハラスメント対策の関係
求職者等へのセクシュアルハラスメント対策は、既存の職場内セクシュアルハラスメント対策と独立した措置義務です。既存の社内研修や規程が職場内の労働者を対象としている場合、求職者等を対象とした内容を別途追加する必要があります。
採用担当者向けの研修を職場内ハラスメント研修と統合して実施することは可能ですが、求職者等へのセクシュアルハラスメントに固有の内容(採用選考場面での具体例、求職者等からの相談対応など)を明示的に含める必要があります。
対策全体の整理についてはカスハラシールドのガイドページで概要を確認できます。
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よくある質問
面接官が1人しかいない小規模事業者でも周知義務はありますか?
はい、あります。措置義務の対象は労働者1人以上のすべての事業主であり、企業規模による例外はありません。面接担当者が1人であっても、その担当者が求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針の内容を理解していることが求められます。
役員(代表取締役など)が面接を担当する場合、周知の対象になりますか?
役員が面接を担当する場合、その役員も求職者等と直接接触する立場にあります。事業主自身が面接を行う場合も含め、採用選考に関与するすべての者が周知・啓発の対象として整理されることが適切です。
オンライン面接の担当者も周知対象に含まれますか?
はい、含まれます。求職者等へのセクシュアルハラスメントは対面・非対面を問わず成立し得ます。オンライン面接の担当者も、対面面接の担当者と同様に周知対象として扱う必要があります。
採用代行(RPO)を利用している場合、自社の周知義務はなくなりますか?
採用代行を利用していても、事業主としての措置義務は自社に残ります。委託先の対応状況を確認しつつ、自社として必要な措置を講じることが求められます。個別の委託契約における責任の分担については、専門家への確認をお勧めします。
周知を実施したことを証明する書類は何を残せばよいですか?
研修の実施記録(日時・参加者・内容)、配布資料の控え、担当者の確認記録などが考えられます。指針が具体的な書式を定めているわけではありませんが、事業主が措置を講じたことを示せる記録を整備しておくことが実務上重要です。 --- 本記事は2026年9月時点の法令・指針に基づく一般情報であり、個別の法的助言・判断ではありません。具体的な対応については、社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください。